気が向かない。

気が向いたら書く。

ボールペンのインクは黒か青か

日頃よく使われているボールペン。その名の通りペン先にボールがついており、日本で一番最初に開発したのはOHTO社だそう。

ビジネス(ウー)マンであれば毎日必ず使うものですが、すべてインクの色は同じでしょうか。

圧倒的に黒が多いと思いますが、少なからず青も使われていることでしょう。


筆記具の販売員をしていた時があったのですが、その当時お客様に聞かれることナンバーワンはズバリ「これの替え芯ちょうだい」でありその内の1〜2割の方は「青な」と続けるのです。(「赤やで」はほぼありませんでした)

僕自身も手帳、日記、ノート全て青で書いていて(これは個人的に、開いた見開きの2ページがすべて黒色で埋まるとなんだか狭苦しい感じがするからです)、仕事などでお客様承り伝票などの複写式の紙に後から追記する際も、店舗控えは原本である黒色なので「後から書き足しましたよ」と、区別すべく青のインクを使っていました。

学生時代もノートはボールペンで取っていました。シャーペンはノックが面倒なのとボールペンの方が「うわあ〜書いてるなあ感」があるので好きでした。シグノのブルーブラックで本文を、エナージェルのブルーで注釈等を書いていました。青ばかりですが意外と見やすいですよ。コントラストが弱いので目に優しいです。コストパフォーマンスには目を瞑ります。

間違えてもホワイトはこれまた面倒なのでチャチャッと二重線で消します。


しかしこの青インク、日本ではあまりポピュラーでないのですが、どうやら海外では勝手が違うらしい。

以前少しだけカナダで住んでいた事があるのですが確かにペンと言えば青で、売っているボールペン10本セットの内9本は青でした。(内8本はインクが出ない)ホームステイ先のお家に転がってるペンも青か鉛筆だったような気がします。


ところで、この様な文をどこかで見たことがありませんか?

「黒か青のボールペンで記入してください」もしくは

「黒かブルーブラックのインクで記入してください」


履歴書や役所の書面などに表記されている一文ですが、おそらく正しいのは後者でしょう。。。

きっと前者は「ブルーブラック?そんなもの青とどう違うんだ」と半ば適当に表記し、それがどんどん広まってしまっている。

たとえば青と聞いた街のギャルギャルな女子高生はどう思うでしょうか

その女子高生の中で青といえば、シグノ0.28の華やかかつ、爽やかなライトブルーかもしれない。仮にこんなひょろひょろのライトブルーで書かれた履歴書が、人事部の元へ送られて来ては人事担当の気持ちまでブルーになることでしょう。


そういうことなんです。青と聞いてもみんな同じ青を思い描くわけではなく思い思いの青で書いてしまうのです。

しかしブルーブラックと表記があればそうならないでしょうし、きっとその表記を見た人は頭の中でこう思うはず。


「ああ、紺ね」




まあ。。。間違いではないが。。

ブルーブラックなんだけど。。

普段使っていない方には馴染みのない色ですが、万年筆ユーザーにとっては至ってポピュラーな色なのです。


タイトルに沿り、ボールペンの黒と青を調べているとなにやらチラチラとブルーブラックが関係しているようで、書くつもりはなかったのですがついでなので書いてしまいます。


かなり諸説あるようですが、簡単にまとめるとこうなります。


・はるか昔、密書を持たせた伝令が敵に捕まり中身を見られてしまいました。大変困った人々は書いてすぐは無色ですが時間が経ち(空気に触れる)、徐々に酸化し黒色が浮かび上がる。つまり可視化する酸化鉄入りのインクを発明しました。そこから時代は進み密書が不要な平和な時代になりました。しかし元が透明なままだといかんせん不便なので青(当時はインディゴ)の色をつけ、耐久性のある酸化鉄と書いてすぐ見える青を混ぜ、なんと実用性まで手に入れたのでした。

万年筆ユーザーの方はもうお分かりかと思いますが、これが古典ブルーブラック誕生の瞬間です。


・その名残から欧米の方ではボールペンも青色が使われています。(関係あるのかないのかスタンプも青が多い気がします。パスポートの出国帰国のアレとか) 


・なぜだか分かりませんが台湾でもそうらしいです(いくら調べても理由が出てきませんでした。。)


・さらに印刷された書類は必ずと言っていい程白地に黒文字で、ここにコピーと同じ黒で書いてもなんら意味を持たず、ここに青のインクで書くことによりたった一つのオリジナルでありコピーでないことを証明します。(日本では朱色である印鑑がこれにあたります)


・その頃中国(日本)では「書」つまり墨の文化が発展しており、スタンダードは墨の黒。サブカラーとして朱の赤色が用いられ、今もなおその名残が受け継がれています(印鑑とボールペン)


何気無い日常の色使いも、実はきちんとした理由があって、今もなお受け継がれている。「”慣れ”は”はて?”を無くす」という文をどこかで見たことがあったような気がするのです(要約すればこの寒いフレーズになるだけで本当はもっとちゃんと書いてありました)が、まさにその通りだと実感しています。何気無くしている、感じている事も鵜呑みにせず、何事も自分というフィルターを通して理解していきたいものです。。。


色の繋がりで一つ。

黄色い紙が目印、赤いラインとのコントラストが美しいリーガルパッド。この黄色も意味があって黄色は思考中つまり、メモや草稿を書く物に使われていて清書である白い紙と確実に、区別するための紙だそう。(弁護士の方が法律を制定だか改定だかするときに、デスクの上に置いたメモを誤って提出されたことが事の始まりだとか)

このように昔も、今も、「色」は人間にとって直感的で、なおかつ認識しやすいものだということです。今ではカラーセラピーだとか、色の持つ力として青は記憶力が上がる!なんて言われてます。

効果のほどは知りませんが、僕は少なくともここ何年か青のボールペンを使っていて記憶力が上がったことはないです。現に昨日の夕飯がもう空の彼方。


こんな風に知らず知らず歴史に触れていて、毎日毎日何気無く万年筆のブルーブラックや黒のボールペン、青のボールペンを使っていると分かるとなんだか嬉しくなるのは僕だけでしょうか。物の生い立ち、成り立ちを知るのはとてもいいことだと思うのです。


しかし、これだけ古い歴史はあれど、日本で青のインクは黒ほど定着しておらず、大事な書類は必ず黒で書かれています。オリジナルを表す印鑑があるからでしょう。


にしろこれだけつらつらと書いた僕でさえ、市役所などでは黒を使います。たとえ、青OKと書かれていても。

青をわざわざ使う理由がありませんし、なにより「黒でいいだろ」感が凄まじいく、黒でダメだったことなんてないですから。


本エントリのタイトルから繋がる結論を言えば「日本で大事な時は黒」となります。

しかしながら日本のこれまでの文化と全く関係のない青を公文書OKとしている辺りが多文化(真似)の日本を表しているような気がします。


ここまででかなり長いな。。もう終わります。

余談として冒頭で書いたカナダに住んでた話ですが、とにかく印象に残ってるのは僕の好きなものが安かったことです。コカコーラはペットボトル12本で5ドル。スニッカーズは一本6セント。オールデンも日本に比べて半額ぐらいだったような。天国のようでした。でもきっと住み続けていたら体を壊しているでしょうね。

我が国日本って革には高い税をつけますよね。さらに本国での値上がりも相まってべらぼうな金額に。。チャーチやウエストン。。


そして、最後になりますがこの記事は8割方書いたあたりで一度消えてます。

二度目を書き終えた今もまだ、頭に来ています。許せません。さようなら。

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